ぐうぜんのきろく

好きな音楽とひとの話

【架空ブログ】京都ひとり旅をした30代独身OLの話。後編

 

<前編はこちら>

 

2日目。

 

8時に起き、身支度をする。

 

昨日買ったイヤリングを付け、赤い口紅を引き、荷物をまとめて、チェックアウト。時間は沢山あるので、30分ほど歩いて下鴨神社へ向かう。

 

足を進める度、イヤリングがしゃらりと音を立てる。

 

糺の森に入り、すぐ左手に河合神社の看板が立てられている。美人祈願できる神社。大きな目的は下鴨神社だが、河合神社も目的のひとつ。河合神社の神様にご挨拶したのち、美人水を頂く。カリンのジャムをお湯で溶かしたような飲み物で、この寒い時期にとても嬉しかった。頼む時に、名前を口にするのが少し恥ずかしかった。

 

「美人水ひとつ。」

 

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温まった後、河合神社といえば!な鏡絵馬を描く。美人祈願の絵馬らしい。手鏡を模した形で、片面に素朴な顔が描いてある。それに自分の化粧道具や、色鉛筆を使ってお化粧をする。私は色鉛筆を使っておおまかな化粧を施し、口紅だけ自分のもので引いた。赤い口紅。

 

反対の面に願いと、名前を書いた。

 

「みんなから愛される素敵な女性になります。」

 

願いが強すぎて断定形で書いてしまった、と、ひとりで自分の願いを見つめて微笑んだ。

 

絵馬を奉納し、下鴨神社へ向かう。

 

歩いてる間に、絵馬の写真を撮り忘れたことに気付いた。撮るためだけに戻るのも、なんだか神様に不敬な気がしたので、心の中に留めておくことにした。こんな性格だから、Instagramの更新もうまく続けられない。

 

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糺の森を歩いていると、同じ方向へ向かう人がおらず、少し不安になったが、方向は合っていた。観光客が減っているという情報は本当だった。たしかに、さっき行った河合神社でも、女性2人組と、ご年配のグループしかいなかった。

 

大きな鳥居をくぐる。鳥居を見上げたら、空がとても綺麗なことに気付かされた。鳥居は、空が綺麗なことを気付かせてくれるためにある、とさえ思えた。

 

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下鴨神社へ着く。結婚式を挙げるのか、晴れ着で写真撮影をしている方々や、着物に身を包んだそのご親族と思われる方、スーツを着た撮影スタッフ、振袖を着た若い子たちがいた。逆を言えば、そのくらいしかいなかった。

 

日曜の朝、めちゃめちゃ空いていた。

 

まず、神様へのご挨拶を済ませる。そして境内を回る。

 

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閑散、とも言えるが、とても静かで、空気が澄んでいて、いい時に来れたなと思った。こうも参拝者が少ないと、神様が気にかけてくれる可能性も上がるな、と欲にまみれた雑念を抱いたりした。

 

授与所に行き、お守りをいただいた。媛守という、女性守護のお守りらしい。ちりめんの生地を使っていて、同じデザインは存在しない。気に入って選んだ自分だけの御守りに、自分だけの願いを込める。とっても素敵。このお守りと私が出会えたように、いい出会いがあるといいな。

 

下鴨神社の空気をたくさん感じ、少し滞在したのち、移動。

 

出町柳駅から京阪電車に乗り、祇園四条駅、少し歩いて、八坂神社へ。

 

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雪が降っていた。風情があって良いけど、寒いのはいただけない。

 

神様にご挨拶を済ませたのち、授与所で「恋みくじ」というのぼりを見つけたので、試しに引いてみることにした。

 

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吉。いいのでは。いい縁に出会えるらしい。

 

このおみくじの通り、縁結びの神に祈ろうとしたら、修繕をしているようで、ちゃんと祈ることは叶わなかった。私の人生、そうゆうのばっかりだなぁ、と思いつつ、とりあえず、代わりにもう一度本殿に祈った。

 

おみくじが良い結果だったので、ここで縁結びのお守りを買うことにした。カード形状のものがあったので、財布に入れておけば肌身離さず持ち歩けるな、と思いそれを頂いた。

 

そしてその場を後にし、清水寺へ向かう。清水寺へ向かうとは名ばかりで、本来の目的は地主神社に行くことである。京都で縁結びといえば、地主神社というイメージをずっと持っている。

 

清水寺に入る。修繕のため、清水の舞台は写真映えするものではなく、写真を撮ることは諦めた。

 

神社と寺だと参拝作法が違う、と、先日、会社の休憩室で見たヒルナンデスで知ったので、その作法に従う。とはいえ作法ごときが、何かを願う気持ちに勝ることはないような気がする、と思った。

 

お目当ての地主神社へ向かう。

 

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神様にご挨拶をし、奥に向かうと絵馬がかけてあった。なんとなく見ていると、そこにInstagramのアカウントを書いている人がいて、頭いいなと思ったが、それはさすがに違うなと思い直した。

 

ここでもおみくじを引く。

 

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吉。

 

八坂神社で引いたおみくじと同じだった。そうなると、吉で運勢確定、という感じがする。

 

今日引いたおみくじは信じて良さそう。

 

これも良さそうなことが書いてあるので、逆に気が引き締まる思いだった。背筋を伸ばして歩く。

 

清水寺を後にし、茶わん坂を下っている時に、明日も仕事か、と急に憂鬱になってきた。

 

どこかに寄りたくなり、たまたま見つけたガラスアクセサリーのお店に入って、可愛いものを見つけたが、値段が想像以上で買わなかった。

 

目的だった3つの寺社で、良縁祈願をすることができた。

 

目的は達成されたし、明日も朝から仕事だから帰ろう、と、京阪と奈良線を乗り継いで京都駅へ向かった。

 

京都駅で自分用のお土産を買い、16:39発の新幹線に乗り込んだ。東京駅に19時前に着き、帰路につく。

 

家に着き、電気を点けた。帰ってきてしまった。

 

これで、また、いつもと同じ日々が始まる。

 

でも、いつもと同じ日々だけど、お守りやおみくじのおかげで、いつもより少し、背筋を伸ばして歩けそうな気がした。

 

今日はもうスマホは開かず、早く寝よう。

 

明日はちょっと早く起きて、スタバのコーヒーでも飲もうかな。

 

何かいいことが起こりそうな気がする。

 

おわり。

 

※このブログはフィクションです。