ぐうぜんのきろく

好きな音楽とひとの話

個人営業の飲食店の企業努力。

 

お気に入りの喫茶店の日替わりランチが980円から1000円に値上げしていて、うむむ、と急に増税の影響を身に染みて感じたりしている。たった20円の話ではあるが、そのたった20円が奪ったのは、おつりのやり取りをするときの、無口な店員のお姉さんとの数少ない会話である。これが本当に悲しい。

いつもコーヒーか紅茶、あるいはホットかアイス、それを伝えるだけの関係なのだが、なんだか好きなお姉さん。私も口数が少ないので、波長が合いそう、と勝手に思っている。常連さんが喋るのはいつも店主のマダムで、そのお姉さんが何者なのか察することができない。いい感じにミステリアス。良い。余談ですが、先日マダムの方に「お嬢さん」と呼ばれたので、なんだか少し恥ずかしく、少し嬉しい気持ちになった。この歳になって、お嬢さんって呼ばれる日が来るとは思わなかった。マスターだったら惚れてたなと思いつつ、この人がこの店を続けてる限り、日替わりランチを食べに来ようと、そっと心に決めたのでした。

 

遡ること9月、消費税増税前に!と結構な煽りがあったので、ついつい高いものを買ってしまった。私の誕生月だったのもあり、お財布の紐もゆるゆるだった。カメラ関連にややつぎ込み、めちゃめちゃいい環境を手に入れた反面、家計は火の車となった。首が回らない割には、日々楽しくやってるけどね。あんまり物の価値とかそういったものに疎いので、ヨドバシ.comが10%ポイント還元をやめない限りは、そんなに自分が増税を感じることも無いと思っていた。しかし私の知らないところで、私の周りにじわじわと増税が襲いかかっていた。それが前述の20円として現れてくるわけで、小さいようで急に大きな話なのである。20円、結構なショックを受けた。

電車の運賃や郵便の切手が値上がっているのに気付いたのは、その20円のおかげかもしれないし、近所の安いスーパーで売っている、南アルプスの天然水2L6本パックが値上げされていたのにも気付けた。増税を気付かせてくれた20円。ちょっと節約しなきゃいけないことを気付かせてくれた20円。

 

たった20円の値上げから、そんな由無し事を考えながら、優雅に日替わりランチを完食した。

1000円をお姉さんに渡し、会話を交わすことなく店を出た。

 

日常の色がほのかに霞む。