ぐうぜんのきろく

好きな音楽とひとの話

同じマジシャンをずっと好きでいられない理由を考えてみた。

 

マジックの世界がとても好きです。パフォーマンスという括りの中だと、いちばん見てるコンテンツかもしれません。周りにマジックに詳しい人がいたりして、自分自身も少し詳しくなってしまって悔しくはあるんですが、それでも純粋に好きで楽しんでいます。マジックは、何も知らない方が面白い世界だと思っています。とはいえ、私は観るだけで、やることはしません。

 

先日、あるマジックショーを見たときに、前説の方が「マジシャンに言ってはいけない3つの言葉」の話をしていました。「見えた」「わかった」「知ってる」は言ってはいけません、と。とても有名な話です。でもそれを聞いたときに、果たして前説でその話をしとかなきゃいけないほど、私が見に来たマジシャンは技術が乏しいんだろうか、と少し考えてしまいました。また、こちら側の民度が、そこまで低く見積もられているのか、と。もちろん、ゲストの笑いを誘って場を和ませるための言葉であることは承知しています。好きなマジシャンであるからこそ、少し反抗的な気持ちを抱いてしまいました。

 

余談ですが、昔、投げ銭の話をする時に「ここに帽子あるんで、いらない小銭を捨ててください」って言ったマジシャン(プロではなかったと思う、学生かなんか)がひとりいたのですが、その人のことは一生嫌いです。なめてんのか。

 

その話から派生して、今まで観てきたあらゆるマジシャンについて考えていたら、ふと、自分が同じマジシャンをずっと好きでいられたことないな、と気付きました。これは、"飽きた"の言葉だけでは、片付けてはいけない問題だと思いました。

 

なので、私が同じマジシャンをずっと好きでいられない理由を考えてみました。ちなみに、私が主に見るのは、ステージマジックです。クロースアップマジックなど、それ以外のものは、ここでは例外として扱います。あんまり詳しくないので。

 

  • 仮説①:通いすぎている

これは最初で最大の問題である。好きだからこそ、出演の現場に沢山通うのだが、毎回違うことをするとも限らないし、好きなマジックをするとも限らない。そして、だんだんとレパートリーが見えてくる。マジシャン自身の企画ライブだとそんなことはないが、イベントなどで、同じような時期に、同じような待遇で、同じような持ち時間でやるマジックのレパートリーなど、そう多くはないと思う。

そもそも、サーストンの三原則然り、同じマジックは2回繰り返して見せてはいけないらしい。マジシャンにとって、固定ファンというのは最高にやり辛いのだろうな、と推察する。行けば行くほど、最初に感じた奇跡がほどけていく。もちろん、何回見ても奇跡のままのマジックもあるが、私はあまり多くは知りません。

解決法:2〜3ヶ月に1回くらい、定期的に通ってみたら、好きが続くかもしれない。

 

  • 仮説②:必然的にマジック道具に詳しくなってしまう

詳しくなりたくなくても、マジック道具って見た目が個性強めなので、一度見ただけで覚えてしまう。そして、同じ道具を違う場所で見かけると、それから起こる現象が読めてしまう。ただ、ここでマジシャンに求めるところは、"どう演技するか"に尽きるので、現象が読めたところで、楽しみ方は変わらない。しかし、その演技が、前観た人を超える、もしくは別角度からのアプローチでなければ、急にテンションが下がることがある。なんでだろう、凄いことに変わりはないのに。一方、反対に前観た人を超えてくると、めちゃめちゃテンションが上がる。最高。

解決法:人と比べない。

 

  • 仮説③:凄いマジシャンが芋蔓式に現れる

マジシャンをTwitterでフォローするようになると、自分のTLに、リツイートや、○○さんがいいねしました、と知らないマジシャンの動画が流れてきたりする。マジシャンや、マジシャン好きがいいねするマジシャンが、凄くないわけがない。そして気になった結果、実際に足を運んだりして、色んな人を点々と見るようになる。好きが散漫になってしまう。何組か出るマジックライブなどで、目当てじゃなかった人が、目当ての人よりも、大きい奇跡を起こした日には、そっちが堪らなく気になってしまう。マジックライブ、こちらから見ると、さしずめ、マジックバトルのよう。興奮する。

解決法:なし

 

この3つの仮説から考えたのは、私が同じマジシャンをずっと好きでいることは、この仮説が正しかったらやはり難しいこと、そして、同じマジシャンをずっと好きでいない方が、マジックというものを純粋に楽しめるのではないか、ということです。理想は、ふらっと行ったマジックライブやマジックバーで、ふと出会った、名前は知らないけど凄いマジシャンのマジックを観るのが、いちばん楽しいんだと思います。私は怖がりなので、できませんが。

 

ずっと好きでいられなくても、好きな人に関連して、違う好きを見つけられるのが、今の私にとって有意義だな、と思っています。それがいちばん楽しいです。なので、ずっと好きでいられない方が、私には合っているのかもしれません。一周回って、結局は戻ってくる、みたいなところもあるし。

 

顔が異常にかっこよくてめっちゃタイプなイケメンマジシャンが現れたら、その人を見るだけで目がハートで、盲目になってしまい、どんなマジックでも拍手喝采になると思いますが、幸か不幸か、まだそうゆう人には出会っていません。

 

マジシャン問わず、マジックを観ることが本当に楽しいです。初めてちゃんとマジックを観たのが、ニコニコ動画演じてみた、で、もうそれは何年前かわからないけど、そこからずっと楽しいです。当時は"マジックを演じる"、という意味すらわかってませんでしたが、今ならわかります。当時よく見ていた映像も、数年前からよく観るリアルも、どちらも本当に楽しい。これからも楽しくあってほしいなと思っています。まだまだ、この気持ちを、大切にしていきたいです。

 

おわり