Canon【iNSPiC REC】FV-100の作例と詳細レビュー。
"写真を撮る"という行為の楽しさを、いま一度思い出させてくれるカメラ。
2019年12月20日、Canonからアソビカメラ『iNSPiC REC』という商品が発売になりました。
使ってみたレビューを、実際に撮った写真を交えながらお伝えしようと思います。
極々私感レビューなこと、ご了承の上で、ひとつの参考にしてください。
因みに、当方が日常的に使っているカメラは、iPhoneⅩRと、Canon EOS Kiss X9iです。その辺が、この記事の基準になっています。
目次
1. 購入した理由
iNSPiC REC発売日の5日前くらいに、ネットサーフィンをしていたらたまたま見つけて、やけに気になってしまい、自分へのクリスマスプレゼントとして買うことにした。
iPhoneのカメラがなんだか味気なく感じ、つまらないなぁと思っていたところだった。カメラアプリのHuji Cam〈別記事参照〉をダウンロードしてからは、そればかり使うようになった。しかしこれも、撮れる写真が少しずつ予想できるようになってきて、つまらないなぁ、という気持ちがぴょこんと顔を出してきていた。
そんな中で見つけた【iNSPiC REC】。ディスプレイがなく、ファインダーもただの四角い覗き窓。詳しい設定もできなさそうだし、不確定要素が多すぎる。これは楽しそう!良い!と思った。iPhoneでは味わえない何かがありそう!、と。
色はブルーにした。落ち着いていながら遊び心があって、良い色だと思った。他の色も全部欲しいくらい悩んだ。最後の最後まで対立候補で悩んだのはグレー。
2. 触ってみた感想
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サイズ感
サイズ感がめちゃめちゃ良かった。小さいながら奥行きがあるので、安定する。持ちやすい。積み木にありそうな直方体。
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ボディー
周りの青いところ、パリッとしたプラスチックなのかなと思っていたが、触り心地はしっとりとしていて、ゴムのような感じ。耐衝撃性ついてるから、ゴム系なのかも。アスファルトに落としても、大丈夫そうと思うぐらい。iFaceの周りぐらいの感じ。
カラビナは本当に便利。カバンから出す手間がないだけで、カメラを何かに向ける頻度が増えたような気がした。指をかけて持てるのが良い。
三脚穴があった。気楽に写真を撮る、というコンセプトからして、わたしは使わないだろうなと思った。
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ダイヤル
モード切り替えのダイヤルが、とても軽い力で回せた。まだ触り慣れてない頃は勢い余って目標より回し過ぎたりもしたが、慣れれば問題ない。カチカチって感じというよりは、滑らかにぱちっと変わる。
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充電
充電はmicroUSB。充電のフタが開けにくい。耐水性が付いているので、ぴっちり閉まるから、摩擦係数高め、カチッと閉まった感じがしなくて不安になる。開けるときに押すボタンの上下で、ちゃんと閉まったか確認できる。
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着せ替えジャケット
かわいい。
ジャケットの磁石、磁力が絶妙に良い。強すぎないので剥がすのも簡単だし、弱すぎないのでパチッとくっつく。簡単にジャケットが変えられる。カメラを持ち出すときに、その日の気分でパチッと変えて出かけられるぐらいのフランクさがあった。
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シャッター
購入を検討してる時に見た商品レビュー(クラウドファンディングや、海外ではもっと前から販売してた模様)で、シャッターが硬い、という声があったので不安だったが、私的にはちょうどいい押し心地だった。シャッターを押しているという感覚があって、とても心地よい。硬くて押し込まないと押せない、というわけでもなく、柔らかすぎて間違ってシャッターが切れてしまう、ということもなく。自撮りをするのに左手でシャッターを押すのも、さほど抵抗を感じなかった。
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シャッター音
電子音でパシャッと鳴る。音量は大きくも小さくもなく、ちょうどいい感じ。iPhoneより、音は小さめかな。少し音がこもっている感じを受けた。人が多い街中だと消え入るぐらいの音だった。あからさまに、安くて小さいスピーカー搭載って感じ。消音はできない。できればいいのにな、と思ったがこのサイズで、ディスプレイなし、音鳴らなかったら犯罪とかに使われそうなので、このままがいいと思う。
このようなチープさって、若い人にとって、良さになることあるよね。
▼追記(2020.01.04)
外で自撮りするとき、シャッター音がほぼほぼ聞こえないので、撮れているのか不安になることがあった。
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3. 作例
早速遊びに持ち出して、沢山写真を撮りに行った。
f値は2.2固定。
焦点距離は3.45mm固定。(35mm判換算だと25.4mm)
ISO値やシャッタースピード、露光などは全てオート。
- 有効画素数:約1300万画素
- センサーサイズ:1/3型 CMOSセンサー
- ズーム:固定
- 焦点距離:25.4mm(35mmフィルム換算値)
- 撮影可能距離:50cm~
- ISO感度:オート(ISO100-3200)
- ホワイトバランス:オート
- 露出補正:オート
iNSPiC REC 公式より引用
江ノ島。
1/3200 ISO100
1/3200 ISO100
1/1600 ISO100
1/120 ISO125
1/1600 ISO100
1/3200 ISO100
1/120 ISO120
1/120 ISO100
1/240 ISO100
1/240 ISO100
この辺はよく撮れてるんじゃないかな、と思う。こうゆうカメラって、逆光で絶対エモくなるんですよね。黒が際立つから。
ゴーストみたいなのも映った。楽しい。
失敗例。
1/15 ISO1000
1/30 ISO1000
夜はやはり弱いか、といった感じ。夜の流し撮りには耐えなかった。というか手持ちカメラ前提のコンセプトなのに、そんなシャッタースピードにするなという話。これはブレてしまう。とはいえ、思いのほか光は綺麗に映ってるので、何かの上に置いたりして固定して撮ると良いのかも。三脚穴も一応ある。夜、イルミネーション、このへんリベンジしたい。
▼追記(2020.01.04)
あしかがフラワーパークのイルミネーションでリベンジしてきました!よろしければ、こちらの記事をご覧ください。
4. 画質
悪い。このカメラに、画質を求めてはいけない。iPhoneの方が割合綺麗に撮れていると思う。景色の写真なので、伝わり難いとは思うのですが、同じ画角での作例。
左側はそのまま、右側が一部の拡大。
iPhoneⅩR : f/1.8 1/1513 ISO25
iNSPiC REC : f/2.2 1/480 ISO100
iPhoneに比べて画質は劣るが、iNSPiCは太陽の色味が自然に写された。さすがカメラメーカーCanonといったところか。わたしは普段からCanonのカメラを使っているので、iNSPiCの方がなんとなく目に馴染んだ。でもちょっと露光下げたい感じもある。全オートは博打がすごい。空の青はiPhoneの方が綺麗かも。
iPhoneカメラの設定値を初めて見たんですが、めちゃめちゃすごくないですか…?ほんとに…?Google photo、その情報ほんと…?そんなのがスマホの中に内蔵されてるの…?ほんとだったら、もう、全人類iPhoneでいいんじゃないかとすら思う。
余談ですが、最初に話した写真アプリHuji Camで撮ったのがこれ。
意味わからんくらいエモい。振り切れ過ぎてて、本当に面白い。やっぱりこのアプリ好き。
6. 画角
画角はiPhoneとほぼ同じ、具体的な数値を検索したら、ソースは不明だが、iPhoneⅩRは35mm換算で26mmらしい。ほとんど一緒。5.で比較した画像でもほぼ同じ画角で撮れていた。
7. 長所と短所
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長所
このカメラのいいところは、「写真を撮る楽しさ」を味わえるところだと思う。フランクに被写体にカメラを向け、シャッターを押す。その場で確認もできないし(スマホ接続はできるのだが、後述する)、家に帰るまで、ワクワクしながら大事に持ち帰るのである。昔、写ルンですを持って遊びにいって、写真を撮って、お店に現像に行くまでのわくわくを、久しぶりに味わった気がする。
子供に初めて与えるカメラとしては、めちゃくちゃ優秀だと思う。今まで幼い姪っ子にデジカメ貸したとき、使ってるところを後ろから見ながら永遠そわそわしてたけど、次からこれ貸そう。心穏やか。
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短所
ⅰ. 画質の悪さ
これに関しては隠しようのない短所。今見て頂いてるこうゆうブログで、スマホサイズに表示される分にはまだ耐える。しかし、プリントする、となると話は違う。L版耐えられるのかな。プリントしてみて、追記するかも。
ⅱ. 電池の持ち
冬の野外に持ち出したので、充電があまり続かなかった。連続で3時間ぐらいだろうか。充電、青で行ったはずなんだけどなぁ。フル充電できてなかったかもなぁ。暖かい時期や室内で使用していないので、その辺は公式に書いてあるように、1000枚撮れるぐらい持つのだろうとは思うが、冬は厳しいのかも。(検証中)
寒いところで使った後、暖かいところに行ったら、充電がちょっと復活したので、その辺はまだよくわからないところ。
ⅲ. 画角と持ち方
画角が広いので、ふつうにカメラを持つように持つと、画角に小指が映り込むことがあった。少し気を使う。
ⅳ. ファインダー
(公式ではファインダーと言ってないかも)
わかってはいたことだが、やはりファインダーは、ただの目安、ぐらいにした方が良いのかもしれない。近くのものを撮るときは、ファインダー見てると確実に左寄りになるので、いっそ見ない方がうまく撮れるように思う。わたしは平行線見るぐらいしかファインダーを使わなかった。
ⅴ. スマホアプリとの接続の悪さ
公式のスマホアプリCanon Mini Camとの接続が悪い。繋がることには繋がるが、遅い。体感で結構待つ。数十秒かな。このご時世、数十秒は遅い。野外だと、もっと遅い感じがした。
野外では撮るだけ、家に帰ってパソコンに入れて見る、というのがストレスフリーでいちばん良い。よりわくわくするし。私はこれからそのスタイルで行こうかなと思います。
ⅵ. 値段
今まで述べたようなスペックを見るに、やや高め。キャノン公式で現在15,180円(税込)。もうちょっと安かったら、ふたりの姪っ子に買ってやれたんだけどな。
因みに、わたしはこの値段でも、買って良かったと思っている。いろんな短所に笑っちゃうくらい、面白いもの手に入れてしまった。
▼追記(2020.01.10)
ⅶ. 撮影日時
これに関してはまだ解決法がわからない、という段階なのですが、パソコンに取り込んだとき、撮影日時がうまく反映されない。アプリで見る限りは今の日時になっているはずなのだが、取り込んだ後は必ず1970年1月1日になってしまう。いつも手入力で直している。Macユーザー。解決法あれば教えてください。
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8. どんな使用シーンが向いているか
私が今後使っていきたいのは、極端に荷物を減らしたいけど、友達と写真も撮りたい場面。例えば旅行先とか、夏フェスとか。
サコッシュ1つで出かけたいときに、サコッシュの紐につけて出かける。そんな使い方。
旅行先とか人と遊んでる時とか、好きなものや、綺麗なものを見てる時って、わたし、極力スマホ出したくないんですよ。だからそうゆう場面で、今回買ったiNSPiC RECには活躍してもらいたい。
あとは海や水辺。iPhoneを出したくない場面で、防水の力を発揮する。iPhoneも防水とはいえ、カバーとか濡れるのだるくないですか?それと、iPhoneには、あまりにも大切な情報が入り過ぎている。無くしたら終わる怖さがある。
▼追記(2020.02.02)
9. 動画
動画には全く期待しておらず、撮ることもなかったのですが、今日初めて撮ってみました。設定は一切いじらなかったので、おそらく、初期値のHD(1280×720)30pなのではないかと思います。動画はあんまり詳しくないので、これがどういった数字なのかは、よくわかりません。感想としては、ふた世代前のコンデジで撮った動画、という感じ。中途半端に悪い。フルHDに設定変えたら、いくらか良くなるんだろうか。今度試してみます。それと、音もやっぱり悪かったです。ただ、これらの全てを言い換えれば、「味がある」とも言える。
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10. まとめ
画質を求める人には絶対に勧めない。このカメラの良さは"フランクに撮れる"という一本槍。画質求める人は、スマホカメラや、一眼を使ってくれという感じ。それらを超えることはまずない。
ただ、本当にその一本槍がなんだか魅力に感じてしまった、わたしのようなひとは、買うべきだと思う。とても面白いカメラです。癖が強いようでそうでないのかもしれない、まだそのへんは掴めていません。これから探っていこうと思います。
コンセプトがコンセプトなだけに、もっと画質とか色彩を崩してくれても良かったのにな、とは思いました。及第点を取れてしまってるのが、私としては、逆に残念だった。願望を言うなら、トイカメラぐらい崩して、もうちょっと安くして欲しかったな。コンセプトが最高なので、今後、後継機とかに期待したい。
おわり
(これから使用していって、感じたことが変わったら適宜追記します。)